第5回 人を憎むことと憎まれること

人を憎むことと憎まれること

さて、今回は心の持ち方について考えてみたいと思います。

みなさんは人を憎む人と、人に憎まれる人では

どちらが方が苦しみが大きいと考えますか?

もちろん、憎しみを持つ方も持たれる方も、

そのどちらも苦しんでいることに代わりはないと思います。

でもつきつめて考えると、心の苦しみの程度はちがいますよね。

たとえば、人に憎まれている人が、憎しみを向けてくる対象のことを

「あの人なにか言ってるけど、私には全然関係ないわ」

と思ってなんの反応もしなかった とします。

もし本気でこう思うことができたら、その人は人から憎まれても

なにも苦しみを感じないはずです。

結局、憎まれることで苦しくなるのは、相手に嫌われたことで

自分が否定された気持ちになったり、また、自分を憎む相手に

同じように憎しみを返してしまうからですが、こんなふうに

心を動かされることがなければ本当に楽になるのではないでしょうか。

もちろん、人に嫌われてしまった場合、自分のなにがいけなかったか

きちんと反省をしなければいけないと思います。

そうでないと、その人はまた同じことを 繰り返して

他の人からも嫌われてしまうということもあり得るからですが、

今回はとりあえずそういうことはぬきにして考えてみたいと思います。

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私のまわりにも、すぐに人を嫌悪してしまうような人がまれにいます。

そういう人を見ていて思うのは、なにかしらの理由をつけて

憎しみの対象を次から次へと変えているだけではないかということです。

こういう場合、憎まれる対象に非があるというよりは、

憎しみを持つ人の心の中に憎しみの原因という大きな問題があるように思えます。

人はみな、だれもが長所と欠点の両方を持っています。

人を嫌悪してしまうのは、その欠点ばかりに

目を向けているということではないでしょうか。

こういう人は、人を憎み、そして人を否定することで

自分の存在価値を自分自身で納得させているように私には見えます。

もしもそんなことでしか自分の価値を見いだせないのなら、

本当に寂しいことですよね。

だから私は、憎まれることより

憎しみを持つ人の方が苦しみは大きいと考えています。

それはたとえば、人に憎まれたときに

その相手に憎しみを返すのもそうです。

自分自身もその人同様に苦しまなければならなくなるので、

こういうのも人を憎んでいるのと同じです。

こういうときに、その対象に対してなにも気にしないだけではなく、

「あの人はいま、私以上に苦しんでいる。

私もできるだけ自分の悪いところを直すから、

あの人の苦しみが少しでも和らいでくれたらいいな。」

と思えたらどうでしょう。

少なくとも自分自身の苦しみが消滅するし、

それだけでなく心の中に優しさという幸せが広がるのではないでしょうか。

憎しみを持てば憎しみしか返ってこないけど、

優しさを持つことができればいつか必ず他の人から

優しさが返ってくると私は考えています。

つまり、人に対して優しさを持つことで一番救われるのは、

ほかならぬ自分自身だということです。

おそらくそんなことは、だれもが頭ではわかっていることと思います。

でも実際にそういう場面に遭遇すると、

「自分を憎む相手に優しさなんか返せない」と

つい思ってしまうのは無理もないことですよね。

こんなふうに、頭でわかっていても実際にそう考えるのは

難しいというときはアロマの力を借りてはどうでしょうか。

自分の中に眠っている優しさをきっと引き出せますよ。

たとえば、「オレンジ・スィート」の香りを焚けば、

心にぬくもりを与えてくれて、人と人との間のバリアーを

穏やかにゆるめてくれる効果が期待できます。

あるいは、「ジャスミン」の香りの助けを借りて、

もつれた感情を解きほぐすのもいいかもしれません。

きっと自分を投げ出すように対象に没入させ、

美しいものに心を開かせてくれるにちがいありません。

また、「サンダルウッド」の香りに助けを借りれば、

心からリラックスさせてくれて人間関係をスムーズにしてくれるでしょう。

これらの精油以外にも、私たちの優しさを

引き出してくれる香りは他にもたくさんあります。

香りは、脳のなかでも大脳辺縁系という

私たちの潜在意識を司っている部位に直接働きかけます。

自分で感情をコントロールできないときは、アロマを使って

私たちの本当の優しさを呼び覚ましてください。


◆優しさを与えてくれるアロマ
-オレンジ・スィートについて-

名前:オレンジ・スィートまたはスィート・オレンジ
学名:Citrus sinensis

柑橘系の精油は、全般的に心をリフレッシュして元気にしてくれます。

なかでもオレンジ・スィートには、精神のバランスをとり、

心にぬくもりを与えて晴れ晴れとした

気持ちにさせてくれる効果が期待できます。

オレンジ・スィートの香りは、未知なものに対する不安も解消してくれます。

その結果、勇気が出て、人に対しても優しくなれるはずです。

ただ、オレンジ・スィートは、肌に直接つけたり、

お風呂に入れるときに量を多めにすると、肌にぴりぴりとした

刺激を感じるので注意してください。

また、光毒性といって、肌に直接塗った後に強い紫外線にあたると

シミになることもあるので、その点も要注意です。