第2回 呼吸と心の関係について

呼吸と心の関係について

呼吸は私たちが考えている以上に、

体調や心の状態の影響を受けています。

たとえば、熱を出してうなされているときや

全速力で走った後など体が苦しいと感じていると、

呼吸までが極端に速くなっていることがあります。

同じように心が苦しんでいるときも、

知らず知らずのうちに呼吸は速くなってます。

興奮して怒り狂っていたり、悲しくて泣きじゃくっているときのことを

思い出してみると、普段よりも自分の呼吸が

速くなっていることに気づくはずです。

そんなことを意識して、だれかと話をするときに

いつもより少し注意を払って相手の話を聞いてみてください。

いつもどおりに普通に話をしているはずなのに、

ある人と話をしているときは心が落ちついてくるけど、

ある人と話をしていると

なんだか心が乱されることがあると気づくはずです。

それは知らず知らずのうちに、話している相手の

呼吸の速さを感じとっているからだと考えられています。

たとえば、リラックスした状態の人は呼吸もゆっくりで、

話し方も自然とゆったりとした調子になります。

そんな人の話を聞いていると、話の内容にかかわらず、

聞いているこちらまでリラックスした気分になれるというわけです。

逆に、心の奥に不安や悲しみを抱えている人の呼吸は

どうしても早くなりがちで、話すときにも

短いスタンスで息継ぎをしています。

それが聞いているほうにも、不安などのマイナスの感情を

同調させる要因のひとつになっていると考えられているのです。

というわけで、ここまでの話で今回の話のポイントが

もうわかってしまった人もいると思います。

そうなんです。

自分自身の心をコントロールするためには、

いま説明したようなメカニズムを逆手に取って、

自分自身の呼吸をコントロールすればいいということです。

心を落ち着かせるには、やはり深呼吸が一番の方法です。

気持ちがあせっているときなど、ちょっとひと休みして

大きく深呼吸を何度か繰り返すことで

集中力 を取り戻せたような経験はだれにでもあると思います。

この原理を利用して、普段からゆっくりとした

呼吸ができるように心がけることで、

私たちは常にリラックスした状態を保てるし、

いつでも集中できる状態をつくり出すことが

可能だといわれています。

おまけに話をした相手にも自然と好印象を与えることができるので、

これは利用しない手はありません。

では、呼吸をコントロールするためには

どうしたらいいのでしょうか。

私が自分で試した方法のなかでは、

ヨガの呼吸法のトレーニングが最も効果的でした。

ただし、これを使うにはヨガのことを勉強しなければならないし、

毎日一定の時間をトレーニングにさかなければならないので、

忙しい人たちには不向きかもしれません。


そこでおすすめしたいのが、

アロマを使って手軽にリラックスできる方法です。

私たちは呼吸をするとき、いろんな匂いや香りを

自然に体の中に吸収しています。

ここでリラックス効果が期待できる精油を

意識して使うことで、呼吸や心をゆったりとした状態に

コントロールしようというわけです。

ちなみに、呼吸を深くする働きのある代表的な精油としては、

フランキンセンス、ラベンダー、サイプレス、

サンダルウッドなどがあります。

もちろん香りの 働きはその人の好みにも左右されるものなので、

自分がリラックスできると感じることができる香りであれば、

これ以外のものでも呼吸を深くする働きは十分に期待できると思います。

香りの使い方としては、アロマランプのお皿に水を張って、

そこに好みの精油を数滴垂らす芳香浴が一般的です。

このほかにも、バスタイムに湯船に数滴の精油を垂らして

ゆっくり浸かる方法もあります。

余談ですが、呼吸の状態は食事の量の影響も

受けているという話もあります。

私もそうですが、必要以上に食事をとりすぎると

どうしても呼吸が速くなってし まうので、

心を健康に保つには普段から腹八分を

心がけることは大切なのかもしれません。


◆呼吸を深くしてくれるアロマ
-フランキンセンスについて-

今回は呼吸を深くする代表的な精油、

「フランキンセンス」について紹介したいと思います。

名前:フランキンセンス
学名:Boswellia carterii,Boswellia thurifera

特徴:古代から珍重されていた精油で、

宗教的な儀式の場で用いられてきました。

幼子イエスに捧げられた香りとしても有名です。

心と体の浄化に役立ち、呼吸 をゆっくりとさせ、心を慰め、

不安や強迫観念を和らげてくれます。
「乳香」、「オリバナム」とも呼ばれています。

注意:妊娠中の人は香りを楽しむ程度にとどめ、

それ以外では使用しない方がいいでしょう。

フランキンセンスに、レモン、オレンジ、グレープフルーツ、

ベルガモット、など柑橘系の精油をブレンドすると、

気分がよくなるいい香りに仕上がります。

たとえば、身近に怒りっぽい人がいたら、

その人の側でさりげなく柑橘系とフランキンセンスの

ブレンドした香りをアロマランプなどで焚いてみてください。

顔つきが次第に穏やかになり、短気も治まることが期待できますから。