春に紫や白、ピンク色の小さな花を咲かせ、一面を美しい色に染めます。
日本では北海道のラベンダー畑が有名ですが、原産は地中海地方です。
交配種を含めて非常にたくさんの種類がありますが、
精油としては「ラベンダー」のほかに、「スパイクラベンダー」
「ラバンジン」「ラベンダーストエカ ス」などが使われます。
他の種類と明確に区別するために、最も良い香りがするとされる
「ラベンダー」の精油は「真正ラベンダー」と呼ぶことがあります。
香りは他の多くの精油と調和するので、ブレンドして使うのに適しています。
とくにオレンジ、ベルガモットなど柑橘系の精油や、
カモミール・ジャーマン、 カモミール・ローマン、クラリーセージ、
マージョラムなどとよく調和します。
【身体へのはたらき】
「万能精油」とも呼ばれるほど用途が広く、作用が穏やかなので
子どもにも安心して使用できる初心者向けの精油です。
一般的には、鎮痛や精神安定、防虫、殺菌などに効果があるとされています。
精油は原液のまま肌につけてはいけませんが、
例外的にラベンダーとティートゥリーは、少量であれば
直接肌につけて使うことができます。
緊張を抑えたりリラックスしたいとき、少量の精油を
こめかみや手の甲につけるといったように手軽に使うことができます。
【心へのはたらき】
穏やかなフローラルの香りが、緊張やストレス、不安感を和らげ、
気分をゆったりとさせてくれます。
安眠を助ける香りとしても優れているので、寝つきが悪い人にも適しています。
【ミニ知識】
高地で育ったものほど心を穏やかにしてくれる元となる
エステル類(リナリルアセテート、テルペニルアセテート、
ラバンデュリルアセテート、ゲラニルアセテート)の割合が高くなります。
「高山種」が重宝されるのはそのためです。
ただし、標高の高いところに行くほど害虫が少なくなるので、
昆虫忌避作用のあるカンファー臭は弱くなります。
【エピソード】
「ラベンダー」という名前は、「洗う」という意味のラテン語に由来します。
これは古代ローマ人が、入浴や洗濯のときにラベンダーを
湯や水に入れるのを好んだのが語源になっています。
昔から葉や花が食用にされていました。
チャールズ1世の妃アンリエッタ・マリアは、ラベンダーの花を刻んで
粉砂糖と混ぜ、ローズウォーターでペースト状に練った砂糖菓子が大好物で、
これをビスケットなどに塗って食べていたというエピソードもあります。
【英名】 Lavender
【学名】 Lavendula angustifolia Lavendula officinalis
【科名】 シソ科
【主産地】 フランス、イギリス、ユーゴスラビア、イタリア、
ブルガリア、日本、オーストラリア
【抽出部位】 葉と花
【抽出方法】 水蒸気蒸留法
【成分の一例】 酢酸リナリル、リナロール、ラバンジュロール
【作用】 鎮痛、抗痙攣、抗うつ、抗微生物、抗リウマチ、消毒、鎮痙、
抗毒、駆風、胆汁分泌促進、瘢痕形成、強心、消臭、利尿、通経、
血圧降下、殺虫、神経調整、殺 寄生虫、発赤、鎮静、刺激、発汗、
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