ところで、このシリーズのタイトルにしている
『猫は毛皮を着替えて帰ってくる』というネーミングは
実は、ネットの中で見つけたものでした。
それまでに飼っていた猫が死んでしまったけど、
少ししたら、転生してまた戻ってきたと感じている人が
意外にも、たくさんいらっしゃるようで、
それが密かな話題になっているようなのです。
ただ、輪廻転生の仕方は、それぞれの方によって
いろんな捉え方があるようでした。
その中でも多かったのが、死んだ飼い猫は、いったん天国へ行って、
そこで毛皮を着替えて、また自分のところに戻ってきた、
というようなニュアンスの考え方が目立った気がします。
私の場合は、チベット仏教で言われている死後の世界の考え方が、
一番しっくりきていて、それを信じています。
チベットには『バルド・ソドル』、日本語で言えば『チベット死者の書』と言われている
一度死んで、それまでの肉体を離れてから次の肉体に入るまでのプロセスを
詳細に記されている経典があるのです。
私がその世界を信じているのは、
自分の瞑想の中でも、そのバルド・ソドルに基づいた体験を
何度かしているからということが、とても大きいな理由です。
もちろん私の体験は、そんな死後の世界の一部に過ぎないのですが。
その『バルド・ソドル』は、チベット仏教の祖とも言われている
パドマサンバヴァと呼ばれている大聖者の方が残されたものと言われています。
この経典については、もっともっと神秘的で不思議な逸話があるのですが、
それについては、また機会があればということで、今回は省略です。
ただ、この経典は、意外にも、
あの心理学者として有名なユングという人が提唱した
『集合的無意識』の元になったとも言われているのです。
その経典には、人間であっても動物であっても、
あるいは、私たちの目には見えない天界に住んでいる住人であっても、
死んだら「バルドー」と言われている中間の世界に入り、
49日以内に、次の世界に転生すると言われています。
そのバルドーでは、死ぬ前の世界で、それまで
自分自身が行ってきた事柄によって、バルドーの体験が現れ、
それによって、次の生の世界が決まると言われています。
そして、これを「カルマ」と呼んでいます。
カルマとは、自分のなしたことが自分に返ってくることであって、
良い行いには良いことが返ってくるし、
悪い行ないには、そのまま悪いことが返ってくる。
良いことにも悪いことにも、それらはすべて、
自分自身の中に原因があるという考え方です。
そして、そのカルマは、バルドーの中では、
肉体を持って生きている時以上に、明確な色や形として現れてくると言われています。
それは例えば、もしもその人が、自分さえよければ他人はどうなってもいいというような
悪意を持ち、嘘や悪口、人と人の仲を引き裂くような言葉だけでなく、
意味のない言葉を発し続けていたり、
盗みや殺し、愛のない愛欲にふけっているなどの
悪業ばかりを積み続けていたとしたら、
その魂のバルドーは苦しみに満ちたものとなり、
次の生は、苦しみの世界へと転生すると言われているのです。
逆に、善業を多く積み続けていた魂であれば、
次の生は、幸せな世界へと転生すると言われています。
要は、今の私たちの行ないのすべてが、次の生を決めているという考え方です。
それと、もう一つ、次の転生先を決める大きな因となるのが
愛着している魂のところへと転生しやすくなるという要素もあるようです。
愛着していた飼い猫が、死んで、また戻ってくるというのは、
猫の方もまた、飼い主である人に愛着していて、
そんなバルドーを経て、戻ってくることになったんだろうなと考えています。
ただ、バルドーって、潜在意識の世界なので、感情の働きも強く、
生きているうちから訓練していなければ、
なかなか自分でコントロール出来るものではありません。
ペットが、元の飼い主のところに戻ってきたという話は、
ワンちゃんには少なく、ほとんどがネコちゃんばかりなのは、
やっぱりネコちゃんは、不思議な部分を持った生き物
ということなのかもしれないですね。