猫は毛皮を着替えて帰ってくる 第6話

 

少し間が空きましたが、前回の続きを書いていこうと思います。


ダイちゃんが、実はミラムちゃんだったと考えれば、
いろんなことが、つじつまが合ってきます。

 

ダイちゃんが、なぜ最初からくうちゃんに対して
物怖じしなかったのか、ということ。

ダイちゃんが、うちに来たばかりの日にもかかわらず
ケージに入れるために捕まえようとしても、
なぜか、うちのネコ専用の逃げ道を知っているかのように
スムーズに逃げ回って、なかなか捕まえられなかったこと。

私たち人に対しては、最初にケージに入れてしまったので、
しばらくは、警戒して私たちにつかまらないようにはしていたけど、
それでいながら、うちに来て数日しか経っていなかったときでも、
目を離すと、テーブルの上で大の字になって
リラックスして寝ていたりしていたこと。

それから、一番最初にダイちゃんを見たとき、
後ろ足が、ミラムちゃんが亡くなる前の状態と同じように
大きく腫れているように見えたこと。

これは、以前にテレビでチベットでの輪廻転生の話をやっていたときにも、
ある修行僧が、前生で鉄砲で脇腹を撃たれて亡くなったのですが、
今生の肉体にも同じ場所に傷後を残して生まれてきたという話がありました。
ネコと一緒にしてしまっては申し訳ないのですが、
理屈としては、同じようなことなのかなと思えるのでした。


でも、だからといって、ダイちゃんが
ミラムちゃんの時のことの全部を覚えているかといえば、
そんなことはありませんでした。
例えば、ミラムちゃんが亡くなる数ヶ月ほど前に
新しくした、水が循環する水飲み器を見たときは、
それがなんだか分からなかったようで、くうちゃんの様子を観察して、
ようやく水飲み器だと理解して、水を飲み始めるということもありました。

なので、自分が生まれる前はミラムちゃんだったと理解はしていないけど、
うちに来て、うちの中の様子が、ほとんどがミラムちゃんがいたときと
同じ状態だったので、なんだか懐かしくて、なんとなく知っている風景だと思えたり、
深い意識に入っていた事柄に関しては、
なぜだか分からないけど、知っていると
そんな風に感じているのではないかと思えてなりません。

くうちゃんに対しても、くうちゃんのことを明確に覚えているわけではなく、
何となく懐かしい子だと思っているのではないかなと、そんな風に感じます。

なぜなら、ミラムちゃんの時は、くうちゃんの方が
ミラムちゃんを一方的に追いかけていて、
ミラムちゃんは、鬱陶しい子という雰囲気で付き合っていたので、
もしも、ミラムちゃんの時のことを明確に覚えていたら、
くうちゃんに対しては、むしろ、もうちょっと
よそよそしい態度になりそうな気もします。


それにしても、今回、なぜミラムちゃんがそばに生まれていたことを
もっと早く気づいてあげられなかったのかと、
それを考えると、ちょっと自責の念が出てきてしまいます。

実は、ミラムちゃんは、物理的に私たちの近くに転生してくるということは、
もうずっと前に、それを象徴する夢を見ていたので、分かっていたのでした。

でも、てっきり人間になって生まれてくるとばかり思っていたので、
近所の人でお腹が大きくなっている人はいないかとか、
そんなことばかりを気にしていたんです。

でも、春頃に、ネコの姿のままのミラムちゃんの夢を見たことがあったので、
そのときに、もう少し冷静に考えれば、ネコのミラムちゃんを探したのにと
そんな気持ちになってしまいます。

本当に、思い込みという観念は、いろんな示唆を受け取る弊害になってしまいます。

その思い込みの中には、今回の私の場合もそうですが、
こうなって欲しい、あるいはこうはなって欲しくない、という願望もあります。
もちろん、こんなはずではない、こんなことは起こるはずも無いという
思い込みも、いろんな示唆を受け取れない状態を作ります。

すべてのことを、ありのままに淡々と見つめることができれば、
いろんなことを受け取ることができるのにと考えると、
まだまだ精進が足りませんね。

でも、気づけなかったことのメリットも、
ミラムちゃんの魂の成長という点でみれば、
あったのかなと思えなくもありません。

あんなに甘ったれだったミラムちゃんが
まだ生まれたばかりの頃から、調べてみると本当にいろんな苦労をしてきたみたいで、
それが、ミラムちゃんの意識を、大きく成長させたのかなと、そんな風にも感じています。

過去のミラムちゃんは、ダイちゃんのように、
くうちゃんに真剣に威嚇されても動じないなんて、なかったですから。

もっとも、くうちゃんがミラムちゃんに対して、真剣に攻撃的になったことは、
ほとんど無かったので、よくよく考えれば、未知数のことではあるのですが。

でも、ミラムちゃんの子供時代と比べても、
ダイちゃんは、まだまだ子猫の部分はたくさんあるものの、
なんとなく大人びているなと感じることも少なくないのも事実だったりするのです。

 

くうちゃんとダイちゃんの最近の写真です。